袋を開けたときのバターの香り、
ふんわりとした食感と口の中に広がるミルク感。
ハイクオリティの焼き菓子を生み出し続ける製造現場には、
熱い想いでお菓子づくりに取り組む人々がいました。
忙しい毎日の中にある、つかの間の休憩時間。そこに1杯の紅茶とおいしいお菓子があれば、至福のティータイムになりますよね。
兵庫県加西市の丸中製菓株式会社で作る「CO・OP大山乳業の特選牛乳を使ったしっとりケーキ」は、おいしさにこだわったコープクオリティ商品。すでに「CO・OP大山乳業の特選牛乳を使ったふんわりドーナツ」「同ベルギーワッフル」という人気商品があり、この商品は2024年3月に発売しました。
「おいしさは絶対条件として妥協せず、価格の中で最大限の努力をしました」と話すのは、開発担当の辻野幸一さん。
豊かなミルク感を出すため、ドーナツ・ワッフルと同様に、生地の練り込みに水ではなく鳥取県・大山乳業の特選牛乳を使っています。
「当社の会長がおいしさにほれ込んでいるんですよ。実際、飲み比べると高品質で他の牛乳とは明らかに味が違います。それを味のベースとして生地に練り込んでいる点が、私たちのおいしさへのこだわりです」と辻野さんは胸を張ります。
「食べたいと思ったときにすぐ食べられるよう、どの家庭でも常備しておく。そんなおやつを目指しています」
2013年に工場をリフォームして衛生環境を整え、安全面にも注力しています。
品質管理を担当する中山智雄さんは「焼成後はできるだけ手を触れないようにするなど、安心して食べられることを第一に考えています」と話します。
神経を使う日々の業務で励みになるのは、食べてくれた人の「おいしい」という言葉。「会社に手紙で伝えてくださるお客様もいらして、そうした言葉を支えに頑張っています」
製造を担当する仮屋﨑貴代さんは「お客様と接する機会は少ないので、食べてくださる皆さんの笑顔を想像しながら、安全なものを届けられるよう作業しています」と話します。
「出来たてを食べられるのが工場勤務の特権ですね。この時点ではミルク感があまりないのですが、ほんのり温かくサックリした食感。時間がたつとしっとり感とミルク感が増して、紅茶によく合います」とのこと。オーブンやトースターで少し焼くと、出来たてのサックリした食感が復活するそうです。
「持てる力は出し切った」と辻野さんが言い切る同商品には、すでに「変えないでほしい」という声が多く上がっています。
「長年変わらない味として、年配の方から小さな子どもまで、家族みんなで楽しめる。皆さんの力でそんなお菓子に育てていただけたらと思います」
食べれば笑顔になれるお菓子で、ぜひ素敵なティータイムをお過ごしください。
卵液は異物混入を防ぐため、こし器を通しボウルに入れます(写真A)。
ミックス粉と発酵バターを加え(B)、大山乳業の特選牛乳を投入(C)。
混ぜムラがあるとダマや空洞の原因になるため、ミキサーの羽根をボウルに当たらないギリギリまで深く入れてしっかり混ぜます(D)。
季節やミキサーの摩擦熱を考慮し、練り上がった生地の温度を一定に保つことで、焼き上がりの膨らみ具合などが安定した仕上がりになります。
丈夫で生地がくっつきにくい紙の容器に、決められた分量の生地を入れます(写真E)。オーブンで均一に熱を通しながら焼きます(F)。「焼きながら同時に滅菌しているので、安全面からも重要な工程です」と中山さん。
ふんわりと焼き上がったら(写真G)、担当者が1つ1つを見て異物混入がないことを確認、焼きムラや型崩れなどがあれば取り除きます(H)。
1つずつ包装して金属探知機を通します(写真I)。
その中から検査用に1つ抜き取り、担当者が食べて味や匂いなどを五感で確認する食味検査(J)、生地をすりつぶして水分活性値を計測する検査(K)などを行い、品質に問題がないか確認します。
トレーに品質保持のためのアルコール製剤の小袋を入れ、商品5つをトレーに入れます(写真L)。外装フィルムに賞味期限などを印字し、包装機でトレーを包んだら金属探知機と重量検査機を通し、箱詰めして出荷します(M)。
【広報誌2024年12月号より】