「CO・OP特別栽培 宮崎のカットほうれん草」は、カット済の宮崎県産特別栽培※のほうれん草をあく抜きし、パラパラに急速冷凍したもの。使いたい量だけをさっと取り出せる便利な商品です。生産から加工までを一手に手掛けるのは、宮崎県都城(みやこのじょう)市にあるイシハラフーズ株式会社。吉川幸一さんと石原祥子さんに話を聞きました。
「15年前に自営農場を始め、ほうれん草の種をまき育てて収穫するところから、冷凍食品に加工するまですべてを自社で行っています」と吉川さん。
驚くのは畑720カ所(計240ヘクタール)のほうれん草を17人で生産していること。それを実現させたのは、3年前に農業作業記録を管理するアプリを自社開発したことでした。畑に立つ看板の二次元コードをスマートフォンで読み取れば、前日までの作業記録がひと目でわかり、作業が効率的に。訪れた3月下旬は、収穫のさなか。
「都城市は盆地で、寒暖差の激しい土地。栽培期間中、昼は気温20度になる日もあるし、冬は雪が降ることもあります。ほうれん草は寒さに当たると甘くなるんです。この寒暖差で、肉厚で甘味があるほうれん草が育っています」と吉川さんは言います。
収穫したほうれん草は、すぐに製造工場へ。
「畑から工場は車で30分圏内。新鮮なまま加工します。ご家庭でほうれん草をさっとゆでるのと同じことを工場でやっているんですよ」と石原さん。
製造現場を見せてもらうと、ほうれん草をカットして急速冷凍するまでに、「洗浄」5回、「異物除去」7回、目視による「選別」4回という念には念を入れた方法で製造していました。
「カラーセンサーという葉の色が違うものをはじく機械も使用していますが、何度も人が目で見て、枯れたり変色した葉や、違う植物が混じっていないかを確認しています」と石原さんは続けます。
自社の検査センターでは、商品そのものの検査はもちろん、畑すべての土壌検査、残留農薬検査などを行っています。
「私たちはいつも、もっと良い商品を作ることができるんじゃないかと考えて仕事をしています。進化を続けながら、どこでどんな風に育てられたほうれん草なのか、しっかり見えるようにお届けしたいと考えています。ぜひ召し上がってみてください」と石原さんは最後に言いました。
組合員の皆さんに年間200万パック以上をご利用いただいている大人気商品です。おみそ汁に入れるも良し、炒めるも良し。食卓の主役にも脇役にもなります。まだ召し上がったことのない方も、ぜひお試しください。
種まきは10月から始まり、収穫は12月~5月。すべて露地栽培で、土壌は黒ボク土という桜島や霧島の火山灰が積もってできた土です。ほうれん草は一般的に約3週間で収穫を迎えるところを、60日間~120日間育てて収穫します。この日は収穫の真っ最中。土が商品に入るリスクを下げるため、収穫時は上から40cmのところでカットし、残った根の部分は耕して畑にすき込み土に還します。宮崎県は畜産もさかんな地域。地元の鶏・豚・牛の糞から作った堆肥を使用しています。
冷凍野菜の製造を40年行っているイシハラフーズ。長年のノウハウが生かされた工場では、30以上の工程を経て、商品が作られています。ほうれん草はまず、回転式のドラムで洗浄と異物除去し、再度洗ってカットした後、熱湯で25~50秒ゆでてあくを抜きます。そして冷水で冷やすことで細菌の増殖を防ぎ、脱水後、急速冷凍し、細胞を壊さず鮮度やうま味を閉じ込めます。合間に何度も選別作業を行っています。包装後にX線検査、金属探知機、ウエイトチェッカーを通します。
検査センターは製造工場のすぐ隣。720の畑は厳密には土の成分が違うため、すべての土を調べ、どんな堆肥をどのくらい与えるか土の栄養成分によって判断しています。収穫したほうれん草・商品は畑ごとに検査しています。残留農薬検査なども行っています。(写真は土壌検査の様子)
商品パッケージ裏面・右端の数字(ロット番号)を、イシハラフーズ株式会社ウェブサイト内の「トレーサビリティ検索フォーム」に打ち込んで検索すると、栽培管理記録のページをご覧になれます。召し上がるほうれん草がどんなところで育ったのか、ぜひ検索してみてください。
【広報誌2021年6月号より】